こんにちは。アリントスです。
国内電機メーカーの法人営業を新卒以降そつなくこなし、約6年経ちました。
妻にも息子にも恵まれた三十路間近の28歳です。
しかし、仕事の責任が増えるにつれ、気合とノリでは太刀打ちができなくなりました。
そんな頃に脳内宰相ビスマルクさんが言うのです。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶのだ。21世紀では使い古された言葉だろうが、お前には必要な言葉であろうが!」と。
「第一次産業革命期におけるイギリスの企業家」をテーマに、現代のビジネスマンの我々のためになる知見を学んでいきます。
前回記事にて、なぜこのテーマを取り上げたのかは記載いたしました。
是非、そちらからご覧頂ければ幸いです。
今回からは参考文献を読み進め、気づきをシェアしていきます。
学びの総括は別途、まとめ記事を作成したいと思います。
では、本記事では1冊目の参考文献の気づきをシェアいたします。
1冊目の参考文献はこちら。
世界史のなかの産業革命―資源・人的資本・グローバル経済
R・C・アレン (著), 眞嶋 史叙 (翻訳), 中野 忠 (翻訳), 安元 稔 (翻訳), 湯沢 威 (翻訳)
2017/12/18に名古屋大学出版会より出版されています。
著者のロバート・カーソン・アレンという方はアメリカの経済史研究者で世界的に著名な方になります。訳者の先生方も名だたる方ばかりで、読む前から背筋が伸びる思いです。
こちらの文献をとった理由は2017年出版と新しく、最新の研究状況を踏まえた主張がなされていると考えたためです。
また、前回記事で記載した以下の疑問の内、1〜3に答えをくれるのではないかと思ったためです。
- 産業革命が起きる1,700年頃のイギリスってどういう状況に置かれていたの?
- なぜ、イギリスで産業革命が起きたの?ドイツでもフランスでもないのは何で?
- なぜ、このタイミングにしか起きなかったの?もっと昔に起きなかったの?
- 産業革命が起きている時に企業家(ビジネスパーソン)は何をしたの?
- 結局、現代の私たちは何が学べて、今後活かすことができるの?
実際、この本を読むまでは「産業革命=蒸気機関のイノベーションによる経済の爆発的な成長が起きた」くらいにしか思っていませんでした。
こんな単純な考えから読み始めて、私は「全く何も分かっていなかったのだ」と思い知らされ、ソッと閉じたくなりました。
本書の冒頭から引用します。
要するに、18世紀イギリスの産業革命は、そこでそれを発明することが採算に合うから発明されたのであり、ほかの時期、ほかの場所では利益の見込みが無かったのである。
世界史のなかの産業革命―資源・人的資本・グローバル経済 p2
これ、第一章の序文です。
「それ」とはもちろん、産業革命の主役の技術である「蒸気機関」「水力紡績機」「ジェニー紡績機」「コークス高炉」などを指しています。
乗っけから、目から鱗でした。
なぜなら、私は素朴に「この時代のイギリスで、”たまたま”これらの技術が発明されたから、イギリスで産業革命が始まって、イギリスはこの世の春を迎えたのだ」と思っていたからです。
丸っきり逆な訳ですね。
この時代のこの場所でしか、革命は起き得なかったということになります。
しかも、ここで「あっ」と思ったことは、「採算に合うから発明された」ということは、現代のビジネスパーソンの我々からすると、”当たり前”なんですよね。当たり前なんですよ。
売れるから、利益が出るから、商品を作りますよね。
”たまたま”落ちていた技術を拾って売るなんてことは無い訳で、そこにはビジネスとしての利益追求がある訳です。
このことに気づいた時に一気に、250年前の産業革命が身近に感じられました。
そして、「なぜ採算が取れたのか」という答えとしては
・当時のイギリスは労働者の賃金が高かった
・当時のイギリスはエネルギーの価格が安かった
だから、高賃金の労働力を安価なエネルギーで動く機械に「置き換える」ことで利益を向上させるということだと本書では語られます。
ここでも「ああ、今のビジネス感覚として、当たり前のことだ」と思う訳です。
現代の私との共通点がチラついてくるのです。
もちろん、本書の中では「なぜそのような状況にイギリスが置かれていたのか」「どういう証拠を持ってそう言えるのか」などの研究結果が積み重ねられています。
具体的な研究結果に関する気づきは、次回以降に記載いたします。
本記事の最後に、当時のイギリスの労働者の食生活の具体的なイメージとして、本書ではエンゲルス(資本論をマルクスとともに書き上げた、あのエンゲルスですね。)の著述を引用しています。
豊かな労働者は「毎日肉を食べ、夕食にはベーコンとチーズをとる」。「週に2、3回だけ、ときには日曜だけ肉を食べる」、というのがそれほど余裕のない労働者である。彼らは肉の代わりにジャガイモとパンを食べる。これより下層の労働者は、「肉を買う余裕が全くなく、チーズ、パン、粥、ジャガイモだけを食べる」。最後に「ジャガイモが主食のアイルランド人」がいる。
世界史のなかの産業革命―資源・人的資本・グローバル経済 p32
エンゲルスはプロレタリアート(労働者)の貧困をイギリスで資本家の立場から見て、「これは貧困であり、なんとかせねばならぬ」と思っていたと思います。
が、本書によれば、このイギリスの労働者達は大陸の国の労働者と比較すると非常に裕福な暮らしをしていると言われます。
当時の豊かな労働者の食生活、現代の私と変わらないんですよね。
こんなところでも、250年前のイギリスに思慕を募らせてしまいます。
というところで、一旦、本記事は締めくくることにいたします。
まだまだ本書を読むだけでも先が長いですし、このレベルの大著が沢山あるなんて、いつになったら、総括ブログを書けるのか…。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
良い日々をお過ごしください。
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